夢のような日々

 

 

それは、一瞬の出来事で。

 

3週間。毎日毎日が大変で、辛くて、忙しかったはず。朝、頭痛と気持ち悪さに朝ごはんを食べられない日もあったし、授業実習の前にはよく腹痛に襲われた、それくらい体が拒否してた教育実習。それなのに実習を終えた今、振り返ると一瞬で。あれ、もう3週間経ったっけ?なんて思う。

この記憶を忘れないうちに書き残しておきたくて、急いでブログを開いた6月19日の朝。5月31日〜6月18日の間の出来事と思い出を記録します。

1日目、右も左も分からないまま、9割の不安と1割の期待で初登校。初めて2年2組の生徒との対面。ぎこちない自己紹介をした後、何人かが話しかけに来てくれた。「バスケのポジションはどこですか!」男バスの男の子だった。「ちーちゃんて呼んでいい!?」元気な女の子だった。自分が受け入れてもらえたみたいで嬉しかった。それから、授業観察に行くとどのクラスの子にも毎回質問された。「彼氏いますか!」「好きなタイプはなんですか!」こんなことも言われた、「年下って何歳までいけますか!」…年上がいいかなぁ、なんて言ったら、先生が大笑いしてた(笑)目まぐるしく1日が終わって感じた事は、生徒から見るとわたしは1人の先生だということ。

1週目は、主に体育の先生たちの授業観察、朝の会帰りの会の連絡、生徒の日記のコメント返し。この3週間で一番楽なスケジュール。でも、一番辛かった。朝の会帰りの会が上手くいかなかったり、生徒との距離感を探りきれなかったり。それから、名前と顔が一致しなかった。他の教科は教室で行うから、生徒は席に座ってて教卓には座席表がある。でも、体育は座席表なんてないし生徒も名札をつけていない。加えてコロナ禍、マスクで顔が良く見えない。何に対して辛かったのかは言葉にできないけど、小さな失敗が重なって限界が来た金曜日、指導教官の前で泣いてしまった。

2週目、いよいよ授業実習が始まった。先週は見ているだけだったのに、月曜日からいきなり1時間全部自分で授業をしなければならない。まぁ、最初から上手くいくわけは無かった。でも、毎日授業後アドバイスを貰いながら、だんだんと良くなっていったと思う。逆に、生徒は回を追うごとにだれていった。初回の授業は生徒も新鮮だから話を聞こうとしてくれるし、一生懸命やってくれる。ただ、3回目以降は、慣れてしまって指示が通りにくくなった。自分が話をしてる時に下を向いて暇そうにしていたり、隣でやってるTボールを目で追ったり、毎日色々試してどうにか楽しく集中して取り組んでもらおうと必死だった。クラスでは、1日に話せる人数を増やすことができた。全員話せた日は片手で収まってしまうけれど、それでもなるべく多く色んな人と話せるように頑張った。話しかけてくれる子も多く居て、1週目よりも2組の教室が過ごしやすく感じた。

3週目、大きな行事が2つ。体育と道徳の研究授業。結論から言うと、どちらも成功だったと思う。体育の授業を終えた後、教務や校長から、以前とは見違えるくらい良くなってたと言ってもらえた。そして何より指導教官から、今までで一番良かったと言ってもらえた。土日、キツかったでしょって笑って、その成果がちゃんと出てたんだと思うよって、見えない努力に気付いてもらえて嬉しかった。これは余談だけど、お疲れ様ってくれたパイの実の箱、勿体無くて未だに食べられない。そして道徳。初めて自分の担当クラスの授業。初めて教室での授業。他の実習生は自分のクラスと他何クラスかを持って、研究授業も自分のクラスでやるんだけど、わたしの場合はたまたま指導教官が5年目研修で2組で研究授業をやったから、最後までやらなきゃいけなくて、2組の体育は見れなかった。だから余計に緊張した。生徒の反応は練習できないから、色んな不足の事態を想定して対策を考えて一発本番。でも、そんな想定は1つも要らなかったくらい、スムーズに進んだ。生徒が意欲的に手を上げてくれて、自分の求めていた解釈をしてくれて、本当に指導案通りに進んだ。その次の日の生徒日記に、道徳の授業について書いてくれた子が何人もいた。「ちーちゃんの初めての授業だから、頑張って発言したよ!」「緊張しながらも一生懸命やってて、自分も一生懸命頑張れた!」「授業面白かった!終わった後、みんな楽しかったって言ってたよ!」本当に、生徒に助けられていたんだなと思った。指導教官も、よく頑張ったねって言ってくれた。「こんな授業できるの?って思った、自分も沢山学ばせてもらったよ」やっぱり、生徒ありきなのは勿論だけど、それ以上に準備したもの勝ちだなと思った。

木曜日、学活の時間にレクやるからおいでと指導教官に言われて行ったら、「今から吉葉レクをはじめます!」『いぇーい!』引退試合だ〜!なんて言葉も飛び交う中、みんなが拍手してこっちを見てた。あまりにいい顔で、泣きそうになった。「ドロケイとドッチビーをやります!じゃあ最初警察の人ビブス着て!」その指示でパッと動く生徒たち。あぁ、沢山考えて準備してシュミレーションしてくれてたんだろうなって、その一瞬で感じた。すぐに女の子が駆け寄ってきて、「先生一緒に逃げよ!」かわいくてかわいくて、愛しい笑顔だった。でも、開始10分で突然の大雨、というか雷雨。指導教官が笛を鳴らして、教室に戻ってー!と指示。遠くで男の子がダメ!って言ってた。一緒にいた女の子は苦笑いしながら走って戻った。予期せぬ強制終了に、かけてあげる言葉がなかった。教室に戻ると、先生が先週の学活で遊んだしりとりのカードゲームを持ってきてくれて、班ごとで遊んでた。それもみんな飽きてきた頃、何しようねって言ってたら、誰かが絵しりとりやりたい!って言った。いいねってなって、黒板使って班ごとでやることになった。何から始めよう〜って先生が言うと、「吉葉先生のばからにしよ!」って声が聞こえた。先生もびっくりした顔で、いいね〜って感心してた。2回目、「今度はよしばちはるのるから!」わ〜ってなって、みんな楽しそうに取り組んでた。後から聞いたけど、外でやる学級レク、2週間以上前から考えてくれてたらしい。それが潰れて悔しかったのは、きっとわたし以上に生徒たちのはず。それなのに、教室でもどうにかわたしを楽しませようといい雰囲気を作ってくれた姿に感動したし、本当に本当に嬉しかった。授業後、先生が「教室であんな雰囲気でやれたのは、吉葉先生が生徒と今までに良い関係を築けてたからだね」って言ってくれて、また泣きそうだった。

そして最終日。朝から生徒日記を読んで泣きそうだった。4日分くらいのスペースにぎっしり書いてくれる子。手紙挟んだので貰ってくださいって手紙をくれた子。授業楽しかったです、先生になっても頑張ってくださいって書いてくれる子。あんまり話してくれなかったけど日記で沢山話してくれる男の子は、今日で最後なの寂しいですって泣いた絵文字付きで書いてくれてた。ずっとこのまま先生に居て欲しかったって書いてくれた子も何人かいた。そして最後の給食。最後の授業。授業は、イレギュラーで3年生が写真を撮ることになってて、朝早く行って引いたラインも用意したミニハードルも使えなくなって、短距離走は50メートルなのに、3年生に追いやられて使えるレーンが30メートルくらいしかなかった。最初に昇降口でプロジェクターを使って動画を見せる予定も後にしないといけなくて、ほぼ全アドリブで授業をした。今までだったらきっとオロオロしてしまったけど、この日のわたしは思ってたよりも冷静で、45分しっかり使って伝えたいことも全部伝えられて、やりたいこともやり切れた。終わった後、それを見ていた他の体育の先生や指導教官に「本当に申し訳ない」って言われたけど、むしろわたしは良い経験ができて良かったって思った。授業後、指導教官が「今日の授業が研究授業よりも堂々としてたかな」って褒めてくれた。準備していた通りの流れは一つもできなかったけれど、悔いを残すことなく締めくくれた。合格点を自分にあげたい。おめでとう、よく頑張ったね。

そしてお別れの時。前日に先生に明日も一階掃除の子達見てもらっていい?って言われてた。「いつもどんな感じ?」「トイレ掃除の子は真剣にやってるけど、理科室の子達が帰るの早くて、もう帰るの?って言ったら教室手伝うからって言ってました」「教室来てもあんまやることないなぁ(笑)じゃあ明日はちゃんとやらせてもらっていい?」この日のわたしの仕事は、理科室掃除をしっかりやらせること。気合を入れていくと、何故か生徒の方が気合入ってた。雑巾掛けの男の子2人は筋肉痛になるんじゃない?ってくらいの勢いでずっと走り回ってて、黒板掃除もピカピカ、ほうきの子も隅々まではいてて、しまいには掃除は25分までなのに30分までやろとか言ってる。…これは誰か先生に怒られたな?と思いながら、いつもと全然違う気合いの入り方が可愛くて笑いそうになった(笑)でも、30分からは帰りの会だから、25分のチャイムなったら帰ろうって促した。その後は鍵を返しにいくってなったんだけど、教室までのルートが2本あって、どっちから行くかでぐだぐだしちゃって、そしたら誰かが「みんなで鍵返しにいこ!」って言い出して、みんなで職員室まで行った。中学生かわいい、仲良し(笑)そんなこんなでちょっと遅れちゃったな、と思いながら四階まで登ると、何故か2組の子達が本をいっぱい運んでて、隣を通ったら「先生手伝ってください!」あぁ、こうやって先生って呼んでもらえるのも最後だな、なんて思いながら、頑張れ〜(笑)って立って見てた(笑)最後の子が終わると、みんなダッシュで戻った。時間がギリギリだったから。一応わたしは先生なので、歩いて戻った。教室に入ろうとしたら何故かみんな伏せてて、え、帰りの会の前黙想してたっけ?なんて思って前を見ると、黒板に「吉葉千晴先生ありがとうございました!!」の文字とかわいい絵。…むり、泣く、と思って生徒見るけど、生徒はみんな伏せてるし、指導教官は助けてくれない。え、どういう状況?って思ってたら、級長さんが起きて「今から吉葉千晴先生の表彰式を行います!」みんなが起きて、女の子が2人出てきて、全員分のメッセージが書いてある大きな紙と、学級目標「かばおくん」の絵がたくさん書いてある紙をくれた。涙、抑えられなかった。そのまま「先生の話!」って言われて、自分のターンがきた。生徒に伝えたいこと、ちょっと良い話を話して、その後3週間の感想を言った。初日に声をかけてくれて嬉しかったこと、放課には図書館を案内してくれたり、一緒に勉強したり、教室で色んな話をしたり、外でバスケをしたりして楽しかったこと、道徳ではみんなに助けられたこと、学級レク企画してくれて嬉しかったこと。そして、実習で担当したクラスが2年2組で幸せだと思っていること。それから、手紙を渡した。一人一人に手渡しすると、泣いてる子が何人もいたことに気付いた。自分との別れを惜しんでくれる子がいる。これは本当に幸せなこと。その後帰りの会、そして最後の挨拶。さようならが終わったら、生徒が駆け寄ってきた。「頑張ってください!」ってニコニコで言ってくれた男の子。「ちーちゃんありがとうございました」って泣きながらきてくれた女の子たち。順番に色んな子がきてくれて、中には離れがたいのか、何も言えずに隣に立ってる子も。それから、教室の隅で号泣して動けない女の子もいた。反対に、「先生の結婚式は絶対行くんで!」とか「先生の彼氏はわたしが奪う!」とか、明るい女の子も沢山いた。教員志望の女の子は、いつか一緒に働きましょう!なんて頼もしいこと言ってくれた。いつもふざけてる男の子は、「帰ったら手紙読んで泣きます」って、最後までふざけてた。いつも教室出るの遅くて早くしてって急かされてた男の子は、今日も帰り遅くてすいません!ってふざけて言いながら帰った。最後に忘れ物を取りに来た男の子を見送って、一人で廊下を歩いた。あぁ、終わってしまった。もう、会えない。急に襲われた寂しさと、手元にある愛しい生徒たちの沢山の文字に、また涙が込み上げてきた。

後から先生に聞いたんだけど、理科室の掃除の子はわたしが早く帰らないように時間稼ぎをしてくれてたらしい。それから教室でみんなが伏せてたのは、ドッキリしかけたいねってなって、死んだふりしてたんだって。かわいすぎない?黙想だと思っててごめん(笑)準備も、当日の1時間目までしてくれてたらしい。1時間目は体育だったんだけど、グラウンドの状態良くないから教室で保健の自習をしたの。そのとき、体力テストでまだ全部終わってない子が先生に名前呼ばれて先生と武道場に行く、わたしは教室で終わった子のノート点検をする、って分担してやった。でも、名前呼ばれて行った子の数人はフェイクで、今日の帰りの会のサプライズの準備をしててくれたらしい。生徒から先生に時間欲しいですって要望があったって教えてくれた。本当にかわいくて仕方ないね。あと、先生隠すの上手(笑)他にも、朝授業変更あって準備が間に合わなかった日。朝の会終わるとすぐに、授業間に合わなかったら自分進めとくから、先に行ってグラウンドの準備の続きしてきていいよって言ってくれたときがあった。それもわたしが出て行った後みんなでドッキリの話し合いと確認をしてたらしい(笑)そんなの気付くわけない(笑)時間ない中沢山準備してくれてたと思うと、先生含めてみんな愛おしい。みんなありがとうの気持ちでいっぱいです。

 

この実習で感じたこと。

体育の先生は、圧倒的に自分のクラスの子と関われる時間が少ない。教室で授業しないから、体育館とグラウンドの往復をしてるとクラスの前は通らない。放課にすれ違って話をすることもできない。だから、朝の会帰りの会の時間はすごく大切。給食前の少しの時間もチャンスで、その時になるべく多くの子と話せるように教室をうろうろしてた。生徒日記のコメントを書くときも、他の実習生は控え室に持ってきて書いてたけど、わたしは2組の教室の隣に机を置いて、教室で授業を受けてる様子をチラチラ見ながら書いた。

それから、生徒は思った以上に先生のことをよく見てる。生徒日記やメッセージカードを読むと、「朝の会でクイズを用意してくれたり、道徳の授業も楽しくできるような工夫をしてくれてたり、一生懸命やってて凄いと思いました」「給食前に色んな生徒と話をしようとしてる姿を見て、頑張ってるなって思いました」自分が緊張してるところもバレてたけど、頑張ってる姿も見えてるんだなと思った。よく考えたら、わたしが2組の子達にした授業は総合と道徳1回ずつ。それなのに、泣いてくれる生徒がいるって結構凄くない?あ、ダメだ。書きながら泣きそう。(笑)

あと、中学生はとても素直。総合の授業では、進路についての話をした。自分の体験談を交えながら、中学2年生のこの時期がとても大切なこと、今ならまだ間に合うこと、まだ明確に決めなくてもいいから、きっかけづくりをしてね。なんて話をした。次の日の生徒日記には、「先生の話を聞いて、高校について調べ始めました」「今回のテストは気合を入れて頑張ろうと思った」「まだ夢はないけど、ないからこそ今は勉強を頑張ろうと思った」凄いね。先生の言葉ってこんなに影響力があるんだって思った。3週目の水曜日から、丁度テスト週間が始まった。この話が関係してるのかは分からないけど、学習時間調査では初めて2組が学年で1番だった。こんなに嬉しいことはない。時間で競い合うものでもないのかもしれないけど、少しでも生徒の意識が変わったのかなと思う、学級全体で頑張ろうと取り組む姿は眩しくて尊かった。

 

それから、指導教官との思い出。初めは、少し怖かった。いや、事前指導の時点ですきだ!と思ったけど、実際優しいだけの先生ではなかった。当たり前なのかもしれないけど、授業実習中は自分が困っても絶対に助けてくれない。授業実習が終わると何も声をかけずに職員室に戻ってしまうし、朝の会帰りの会の話もあんまり良い悪いを言われたことがなくて、いつも不安だった。でも、授業後に2人で話す時間には、授業を見ていて思ったことやアドバイスを言ってくれたり、笛が上手に吹けないわたしの為に体育館で一緒に特訓してくれたり、研究授業を終えた日にはお疲れさま!ってお菓子をくれた。道徳の板書の練習にも付き合ってくれた。1週目は職員室から教室までの道で、寝れた?って聞いてくれて、帰りには悩みとかない?って聞いてくれた。朝の会でなぞなぞを出した日には、考えたねって笑ってくれた。進路の話をした次の日の帰りの会では、硬い話ばっかりだと生徒が飽きちゃうと思って「今日の話はリラックスして聞いてね」って自分の中学時代の変なエピソードを話したら、自分が毎日出す反省のコメントに「生徒との関わり方、完璧です。」ってコメントくれた。あと、本当に素敵だなと思う考え方も沢山教わった。例えば「教師として話をする時には教団の上、一個人として話をする時には教団の下って使い分けるとか、授業や連絡では少し声のトーンを落として締めるけど、放課中は楽しく素ではなすようにするとか、自分はそういう風にしてるから、良かったら参考にしてみて」とか。体育の授業で注意する事も沢山教えてもらったけど、教師としての立ち振る舞いを考えるのが何より大変だったわたしには、こういう話がすごく役に立った。体育教師にとって教室はアウェイだから、多分他の教科の先生より人一倍試行錯誤して作り上げたスタイルなんだろう。「まだまだ自分も色々試してるから、吉葉先生も自分に合ったスタイルを探していくといいよ」って言ってくれた。毎日が学びと気付きの連続だった。指導教官が市野先生じゃなかったら、こんなに成長できていないと思う程、たくさんのことを教えてもらった。それから、3週目にはやっと楽しく話せるようになって、笑い合うことが多くなった。「やばい、3時間目吉葉先生いないから雨降るかも!」前に晴れ女って話したら、体育の研究授業の日の雨予報を見事覆した日から、体育の先生間で晴れ女が定着してた(笑)でも、学級レクの日は、ピンポイントで雷雨。「本当は雨女なんじゃない?(笑)」「そうかもしれないです…(笑)」最終日の5限授業も雨降るか降らないか微妙で、給食前に判断しようってなった。ギリ持ちそうだったから、5限外でできますか?って言ったら「本気出さないでよ?」「出しません(笑)」いつの間にか雨女キャラに変わってた(笑)大学の教授がわたしの授業を見にくる日を打ち合わせしてるときには、わたしがぽろっとこの日は1日空いてるらしいんで、って言ったら、「教授のことばかにしたでしょ!(笑)」「えっ?」「暇みたいな言い方!(笑)」「でも、ひまって言ってたんです!(笑)」「うわ!ばかにしてる!(笑)」とか、そういう言い合いが楽しくて楽しくて…。恋ですかこれは。と思いました(?)それから最終日、実習は金曜日までだけど、月曜に書類を提出しに行かないといけなくて、16時くらいにくるって実習生と打ち合わせしたことを伝えた。そしたら帰る時に、また月曜日って言われて、ありがとうございましたって言おうとしたら、「8時ね」…それだとまた朝の職員打ち合わせの時間(笑)わたし「…16時(笑)」先生「8時(笑)」なんて笑ってお別れした。若い女の先生だったこともあって、話しやすかった。天パのショートでいつもサッカーのジャージ着てる姿はかっこよかった。本当に素敵な先生だった。

 

思い返すと、まだまだ沢山の思い出がある。週に1度は、学級に行けない生徒と一緒に体育の授業をした。ちゃんとした会話をする事はできなかったけど、卓球したりバドミントンしたり、一緒に笑い合えて楽しかった。自分の担当クラスでは、ある日教室で女の子が席で泣いてた。揉め事があったらしく、授業後に1人ずつ教室に入って先生を交えて話をしてた。生徒指導の難しさを知った。それから、2組の不登校の生徒が少しだけ学校に来られたらしい。会えなかったけど、嬉しいニュースだった。

多分人生で1番充実した3週間だった。大変だったけど、1つも手を抜かずに頑張りきれた。だからこそ、実習を終えた今、達成感と寂しさでいっぱいなんだと思う。実習前、終わったら見たいアニメを一気に見よう!とか、好きな服買おう!とか、色々ご褒美を考えてたのに、今は逆に何もしたくない。3週間の出来事を忘れたくなくて、余韻に浸りたくて、何にも手をつけられないでいる。今日くらいは大学の課題も忘れて、メッセージカードを眺めて過ごそうと思う。

 

指導教官と担当クラスに恵まれて、本当に充実した教育実習だった!元々教員志望じゃなかったわたしだけど、やっぱり教育は素晴らしいものだと思った。これは一個人としての感想だけど、他の企業の理念や事業内容が薄っぺらく見えてしまうほど、学校には沢山の葛藤と希望が溢れてた。この経験は、確実に教育実習に行かなければ得られないもの。他の何にも変えられないもの。行って良かったと、純粋に思った。

もちろん、それ以上に大変さ難しさ厳しさを感じた。わたしには荷が重いというか、ちゃんと1人でやっていける自信はない。だからやっぱり、教員にはならない、いや、なれないと思う。でも、この3週間で学んだことは絶対に忘れたくない。一生忘れない。

 

これから生徒はどんどん成長して、きっとわたしとの記憶も薄れていくんだろう。毎日沢山コメントを書いたひかりも、いつかは捨てられてしまうだろう。渡した手紙もすっかり忘れられてしまうかもしれない。体育の授業で教えた事だって、高校生になる頃に覚えてる子は少ないと思う。"記憶に残る"というのはとても難しい。それでも、この3週間のうちに交わした言葉の一つ、遊んだ思い出の1個、苗字や名前。この先何かのきっかけで、誰か1人でも思い出してくれたらと思う。自分が居た意味が、あれば嬉しい。わたしは日直の日誌に、こっそりメッセージを残した。学級レクの後、「吉葉千晴のひかり」(ひかり=生徒日記)と書いて、目立つようにメッセージを赤の蛍光ペンで囲った。生徒は37人。2ヶ月後くらいまでに、全員の目に触れられるかな。その時、どんな反応をしてくれるのか見られないのは少し残念だけど、きっと笑ってくれるんじゃないかな!どうかな!^ ^

 

まだまだ全然書き足りないけど、気づいたら9000字を超えてたのでここで終わります。書きすぎ(笑)あんなに嫌だった教育実習、終わってみると全てが尊い時間だった。生徒や指導教官、他の体育の先生や道徳の指導案を見てくれた先生、話しかけてくれた学年の先生に恵まれて本当に幸せだった!ありがとうごさいました!

 

絶対、一生、忘れない!

 

 

 

 

 

 

 

加筆。6月21日。

書類を提出しに、最後に中学校に行きました。大好きな指導教官ともこれで本当にお別れ。すっかり通い慣れた道を通って、いつもとは違う時間帯、16時に学校に着いた。丁度他の実習生の女の子たちもいて、一緒に職員室に向かうと、わたしの指導教官が出てきた。あ、と思ったら、わたしを見つけるなり近付いて、「なんで8時に来んかったの!」「…16時って言いました笑」「え?遅刻だよ遅刻!笑」いつの間にか日常になっていたこのやりとりも、今日で最後かと思うと寂しくて。それから書類を提出して、土日なにしたの〜、部活行きました!今日筋肉痛で自転車キツかったです笑、なんて話をしながら出勤簿に判子をたくさん押した。代わりにわたしは書類の入った封筒を受け取って、もうやることは終わっちゃった。分かってたけど、先生は今日も変わらず忙しい。じゃあ、お疲れ様でした!なんて、あっさりとした別れになにも言えず、何度もお辞儀をしてお別れした。帰り道、短距離のタイム渡すって言われてたのに貰い忘れた!って気付いた。いつもそうだった。事前指導の日には道徳の教科書を貰い忘れ、実習中も体育の教科書を貰い忘れたり、iPadを貰い忘れたり、次の日にごめんごめん、後回しにするとダメだね!なんて笑い合った。まぁそれも自分達らしいか、と思って、わざわざ取りに帰る気にもなれなくて、そのまま帰った。家に着くとすぐ、書類を確認しようと封筒を開けた。最終日に出した反省、どんなコメントが書かれてるのかが最後の楽しみだった。封筒を開けるといつもの透明なファイルが入ってて、一番上の反省を取ると、ファイルに青い画用紙みたいなのが入っていることに気付く。ん?なんだろうと思って手に取ると、…手に取ると、手紙だった。二つ折りの画用紙、上半分には最終日に生徒が描いてくれた黒板と空っぽの2組教室の写真、下には細かい字でぎっしりと文字が書かれていた。思わず、泣いた。思い返すと、学校で封筒の中を確認しようとした時、「あ、それはそのままでいいよ」なんて言われて、?と思った。その場でバレたくなかったのかな、なんて思った。先生らしくて、愛おしさが込み上げた。そしてその手紙にはピンクの付箋が付いていて、連絡先ともし何かあれば気軽にどーぞ!って文字。…ずるいなぁ、わたしはあの時もう会えないかもと思って別れたのに。優しいなぁ、この先も面倒を見ようとしてくれている。そしてそのファイルにはもう一束紙が入っていて、見ると2年生の短距離走のタイムだった。そこにもピンクの付箋が貼られてて「担当してくれた6組、全員タイムあがってる!すげー!!」わざわざ付箋に文字を書いてくれる優しさと、自分の授業の成果に感動して、うれしくてうれしくて、さらに溢れる涙。いい、実習だった。終わりまで最高の実習だった。

その日の夜、勇気を出して先生にLINEをすると、「お!今日8時に来なかった人じゃないか!!!笑」なんて元気な返信がきて、わたしは幸せに包まれて眠りについた。勿論、夢の中ではまだ先生だった。